【Vol.86】【紡ぐ、結ぶ】澤井織物に聞くストールのこと Part2|AKOMEYA TOKYO

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【Vol.86】【紡ぐ、結ぶ】澤井織物に聞くストールのこと Part2

上質な素材から一本の糸が紡がれる。自然の力、匠の技、技術の奇跡が糸に織り込まれ、やがて伝統となり新しい時代に繋がっていく。糸は紡がれ、人と人を結んでいく。
AKOMEYA TOKYOでは、ものそのものだけでなく、ものに込められた思いや、作られる背景を大切にしてきました。
Part2では、澤井織物工場が考える伝統の継承、そしてものづくりへのこだわりについてお届けします。
生地を織る織機(しょっき)には、緯糸(よこいと)を通すためのシャトルを用いたシャトル織機とシャトルの代わりにコンピューター制御を用いたシャトルレス織機があります。近年生産される生地のほとんどはシャトルレス織機によるもので、高速で生産性が高く効率的です。
一方、澤井織物で使用しているシャトル織機は、シャトルレス織機の十分の一程の速度。ゆっくりと時間をかけて丁寧に織ることで、ふっくらとしてあたたかみのある風合いの生地が生まれ、高密度な仕上がりなので耐久性が高く長く愛用できます。
澤井織物のコンセプトは「作品のような製品作り」。そして「伝統工芸を若い人に使い、知って欲しい」。そんな思いから、多摩織という伝統工芸を残すため、そして継承していくため、長い間受け継がれてきた基礎は変えずその技術を応用し進化させてきました。
「澤井織物に来てまる4年が経ちました。ゆっくりと時間が流れる場所なので、じっくり日々を積み重ねています。最初の1、2年は言われたまま覚えていく感じでしたが、3年で流れが分かるようになり、自分なりに動く面白みが出てきました。織物は登山と似ています。登るまでが準備、下りが織りの工程。大変で、重要なのが準備です。」
先輩や、時には澤井さんに教わりながら技術を身に着けてきたという里村さん。もともと織物や伝統工芸に興味があり、入社して5年目を迎えます。
「伝統を継いでいくって、意識しすぎるとプレッシャーになるので目の前にあることを真面目にやる。今は澤井社長が思いつくアイデアを形にするのが役目です。織物は糸1本1本の世界なので、ざっくりとしたアイデアを現実的に物へ落とし込むのが難しい。でも、そういった様々なアイデアがリスクに捉われていない。だからこそ伝統工芸を仕事として残していけているのだと思います。 私も糸を見てその糸で作れるものなどが分かってきたので、自分なりにアイデアを出して新しいものを作っていきたいです。」
「若手には、まずやってみてもらう。なんでもチャレンジすることが大事です。人を育てながら会社のレベルも上げていく。技術を伝承するために、若い人を、そして技術を育てることを大切にしています。根にあるのは多摩織を残すこと。でもそれに捉われずに新しいことにチャレンジしていきたい。」
澤井さんは、時代に合った形での伝統技術を継承してくため、次世代を担う技術者の育成を行い、常に革新的なチャレンジを心掛けています。