"秘窯の里" 佐賀県伊万里市の寛右エ門窯でつくられる平形碗|AKOMEYA TOKYO

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"秘窯の里" 佐賀県伊万里市の寛右エ門窯でつくられる平形碗

2021年10月の新米祭りで初お披露目となったアコメヤオリジナルの伊万里焼 平形碗。 ごはんを盛った時に器の余白とのバランスがよく、お米と器の両方の美しさが際立つアコメヤ人気のごはん茶碗です。
今回のAKOMEYA通信は、古い歴史をもつ伊万里焼のルーツと、この秋、リニューアルして登場する2つの飯碗のこだわりについて、平形碗をつくってくださっている寛右エ門窯(かんえもんがま) 7代目 瀬戸口 豊寛さんに話を伺いました。


伊万里焼の歴史
伊万里焼(鍋島焼)が作られているのは「秘窯(ひよう)の里」と呼ばれる佐賀県伊万里市大川内町大川内山(おおかわちやま)。
切り立つ岩山に囲まれた山間に窯元が集まっています。
伊万里焼の歴史は古く約300年前の江戸時代まで遡ります。佐賀藩は徳川幕府に献上する最上級品を製作するため、高い技術を持つ職人たちを良質な青磁原石が産出される大川内山に移住させ、ここを「藩窯(はんよう)」としました。 三方を山に囲まれた地を選び、里の入り口には関所を設置して、高度な技術が他に漏れるのを防ぎました。
このように「秘窯の里」と呼ばれる大川内山の門外不出の技術で特別につくられていた磁器は鍋島焼と呼ばれ、明治維新の廃藩置県により藩窯としての役割が失われた今もなお、30ほどの窯元が軒を連ね、伝統の製法を守り次の世代へと受け継いでいます。
※寛右エ門窯で作られている伊万里焼作品
 
鍋島焼の流れから、現在の伊万里焼は華やかな絵柄で磁器の最高峰である「色鍋島」、白磁に藍一色が映える「鍋島染付」、大川内山で取れた青磁原石から作られる「鍋島青磁」の3つの特徴を持ちます。


アコメヤの平形碗
鍋島青磁×吹墨:素焼きした生地に吹墨を施す
鍋島青磁×吹墨:内側のみに白マットの釉薬を掛ける
鍋島青磁×吹墨:内側の青磁を掛けたくない部分に撥水剤を施す
鍋島青磁×吹墨:外側に青磁の釉薬を掛ける
金泥釉:金泥釉を掛ける
釉薬を掛け終わって窯に入れる前
平形碗が出来上がるまでの行程は、
【粘土を型で成型⇒乾燥⇒素焼き⇒吹墨(鍋島青磁×吹墨の場合)⇒釉薬を施す⇒焼成】。
他の産地と大きく異なるのは、工程がそれぞれ分業されているところ。
一般的にはこれらを一人の職人が担いますが、伊万里焼の場合は、藩窯の時代の歴史的な名残で、複数の職人が工程をそれぞれ担当して作業を行います。
寛右エ門窯では、現在8名の職人たちが日々作品づくりに励んでいます。
※画像は昔の登り窯の復刻 で、現在の平形碗はガス窯で焼かれています。
 
アコメヤの平形碗をつくってくださっている「寛右エ門窯」も、寛文十年創業(1670年)の伝統的な窯元です。
現在は平形碗のほか、鍋島小紋の染付小皿や、吉祥紋を表現した箸置きを作ってくださっています。
金泥釉
鍋島青磁×吹墨
今回、登場する2つの飯碗は、寛右エ門窯がこれまでの伝統技術を守りながら、新たな挑戦を繰り返し生み出されたもの。形になるまで何度も試作を繰り返し完成しました。

金泥釉
発色が非常に難しく、焼く時の温度管理や細かな調整が必要な金泥釉を全面に施しました。
ひとつひとつ表情が異なり、奥深い光沢を放ちます。
金泥釉は、空気中の酸素とゆっくり結合しながら深い色に変化していき、時間とともにその趣きを愉しむ釉薬です。


鍋島青磁×吹墨
伊万里焼で伝統的に使われる「鍋島青磁」と呼ばれる釉薬を外側に、同じく伝統の加飾技法である「吹墨」を内側に施したデザインは、ひとつの器に釉薬を2種類使う「掛分け」という技法で、非常に難易度が高く技術が必要です。内側のマットな白は、濃度や品質管理に手間がかかります。
また、吹墨は均一になりすぎないよう自然な点を出すため、熟練の職人が独自の道具を使い、一つひとつ手作業で加飾しています。
アコメヤオリジナルに使用している青磁は、瀬戸口さんが釉薬の配合にこだわり、日々、コツコツと研究をされるなかで生まれた滑らかで明るい青緑色が特徴的です。


使われている土は熊本県天草下島で採れる天草陶石。これに加える含有物を変えることで、異なる風合いの器が出来上がります。この2つも、それぞれ土の配合を変えより風合いが出るようこだわりました。
瀬戸口さんに、平形碗のおすすめの使い方をお聞きしました。
「元は"お茶漬けを最後まで美味しく食べられる形のお茶碗を"という料理店からの要望をもとに作られた型で、口にあたる部分の強度と薄さにこだわり、啜りやすくできています。高さも浅めなので、ごはんの上に明太子なんかを乗せると下まで美味しく食べられますよ。通常のお茶碗だと深さがあるため最後はごはんだけ残ってしまいがちですよね。浅く綺麗な広がりをしている形状なので、煮物を盛ったり、小鉢のように使うのもおすすめです。」

形状にこだわった平形碗は、重なりが良く、収納スペースに無駄が生じず、洗いやすく水切れが良いのも嬉しいポイント。
少し高めの高台は手で持ち上げやすく手に馴染むサイズ感で、作品のような美しいフォルムでありながら汎用性に優れた逸品です。

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