金泥釉と呉須が彩る、有田焼・喜鶴製陶のつくるアコメヤの平飯碗|AKOMEYA TOKYO

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金泥釉と呉須が彩る、有田焼・喜鶴製陶のつくるアコメヤの平飯碗

毎日の食卓に欠かせない飯碗。その一つにも、産地の歴史や作り手の技術、そして使う人への思いが込められています。
AKOMEYA TOKYOの平飯碗を手がける喜鶴製陶きかくせいとうは、400年以上の歴史を誇る有田焼の技術を受け継ぎながら、新しい表現にも挑戦を続ける窯元です。独自に開発した土や、長年研究を重ねた釉薬、手仕事ならではの丁寧な仕上げ。その一つひとつが、ご飯をおいしく味わうための器へとつながっています。
伝統を大切にしながら、新しい価値を生み出す喜鶴製陶のものづくりをご紹介します。


「作りたいものを作る」──喜鶴製陶の山口祥治さんが歩んできた道
佐賀県・有田町に工房を構える喜鶴製陶は、2017年に陶芸家・山口祥治さんとクリエイティブディレクターの諸隈洋介さんによって設立されました。
山口さんは2005年に「祥爾工房」として独立し、作家活動を続けながら、2017年に喜鶴製陶を立ち上げます。
山口さんは長崎県波佐見町生まれ。代々窯業に携わる家に育ち、大規模な窯元を営む父の背中を見ながら幼少期を過ごしました。しかし、自身が目指したのは家業をそのまま継ぐことではなく、「絵描きになりたい」という夢でした。窯業の世界でデザインを手掛けながら約10年経験を積み、自らの表現を追求する場として独立。その後、有田に工房を構えたのは、有田焼を強く意識したというより、「良い物件との出会い」がきっかけだったと語っています。
印象的なのは、「今あるものと同じものを作っても意味がない。自分は違う方向のものを作りたい」という言葉です。
伝統を否定するのではなく、伝統を尊重しながらも自分らしい表現を模索する。その姿勢は、絵画作品から器づくりまで一貫して流れています。


400年の歴史を受け継ぐ有田焼と、その先へ
有田焼は1616年頃、日本で初めて磁器が焼かれた産地として知られます。白く透明感のある磁肌と繊細な染付、華やかな色絵は17世紀にはヨーロッパへ輸出され、王侯貴族を魅了しました。日本国内でも献上品として扱われ、高級磁器の代名詞となっています。 その美しさを支えているのが「天草陶石」。不純物が少なく、透き通るような白磁を生み出す原料です。 一方で喜鶴製陶は、有田焼の技術を継承しながらも、独自の素材づくりにも取り組んでいます。創業時から陶土メーカーと共同でオリジナルの土を開発し、信楽系の土と天草陶石を組み合わせた独自配合を採用。白磁の美しさに加え、土もののような柔らかさや表情も持ち合わせた質感を実現しています。 また、有田焼では一般的な還元焼成ではなく、酸化焼成を得意としていることも喜鶴製陶ならではの特徴です。酸化焼成は酸素を十分に供給しながら焼く方法で、白磁や呉須の表現とは異なる魅力を引き出すことができます。この技術が、今回の平飯碗の「金泥釉」の表現にも大きく生かされています。


アコメヤの平飯碗に宿る「金泥釉」と「呉須」の技
今回、AKOMEYA TOKYOの平飯碗を喜鶴製陶にお任せすることになった最大の理由は、「金泥釉」を安定して焼成できる数少ない窯元だったことです。
還元焼成では難しい金泥釉も、酸化焼成を得意とする喜鶴製陶なら高い品質で仕上げることができます。
山口さんが金泥釉を手掛け始めたのは1990年代後半。海外の陶芸書をきっかけに独学で研究を重ね、現在では釉薬そのものを自社で調合しています。
しかも一般的な「どぶ掛け」ではなく、一点一点を筆で何度も塗り重ねる独自の製法を採用。釉薬だまりができにくく、美しい均一な質感を実現しています。
一方、「呉須巻」や口縁の「錆(さび)」にも細かな工夫があります。
呉須を施す際は、焼成中にピンホールが発生しないよう釉薬の配合を何度も調整。一般的な「十草」の模様をアレンジし、途中から二手に分かれる線が特徴的で、これを1本1本フリーハンドで引いていきます。
さらに口縁の鉄分を含んだ錆色は、筆の腹で均一に細く引いています。
長く使われる器だからこそ、毎日使っても飽きの来ないシンプルな美しさが表現されています。

今回の飯碗では、以前の窯元から型を受け継ぎながらも、土や焼成、釉薬が変わることで、同じ形でありながらまったく新しい表情を見せています。それは「受け継ぐ」と「進化させる」の両方を実践したものづくりです。


喜鶴製陶が描く、これからの器づくり
喜鶴製陶には、作家作品とメーカーとしてのものづくりという二つの顔があります。
作家として自由な表現を追求する一方で、企業との協業では安定した品質や生産体制を整え、多くの人に届く器づくりにも取り組んでいます。諸隈さんが企業との橋渡し役を担い、山口さんが制作に集中する現在の体制は、両立を可能にする大きな強みとなっています。
近年はラスター彩やプラチナ彩など、新しい表現にも積極的に挑戦し、有田焼の枠にとらわれない作品も次々と生み出しています。
伝統を守るだけでも、新しさだけを追い求めるだけでもない。その両方を行き来しながら、自分たちらしい器を作り続けることが喜鶴製陶の目指す姿です。
AKOMEYA TOKYOの平飯碗も、その姿勢を象徴する一品といえるでしょう。400年以上受け継がれてきた有田焼の技術を土台に、現代の暮らしに寄り添う使いやすさと新しい美しさを重ねる。その積み重ねが、これからの有田焼の新しい歴史を紡いでいきます。

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