食のカタリストたちの作り手訪問ツアー~長野県中野市・丸世酒造店/マルヰ醤油~|AKOMEYA TOKYO

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食のカタリストたちの作り手訪問ツアー~長野県中野市・丸世酒造店/マルヰ醤油~

私たちAKOMEYA TOKYOが目指すのは、世界に誇れる”おいしい”の循環型社会。「食のカタリスト」として、日本各地の“おいしい”を未来につなげる作り手と、食を通じて豊かな暮らしを育む使い手をつなげることを使命としています。  

AKOMEYA TOKYOの「カタリスト」には、作り手と使い手をつなぎ化学反応を促進させる『触媒』という意味と、作り手のストーリーを『語る人』という2つの意味があります。

今回のAKOMEYA通信では、そんな「食のカタリスト」であるAKOMEYA TOKYOスタッフチームが、長野県中野市の作り手さんを訪問してきた様子をレポート。後編では「丸世酒造店」「マルヰ醤油」へ訪問した様子をお伝えします!

長野県中野市・小柳農園へ訪問した前編はこちらからご覧ください。

長野の老舗酒蔵「丸世酒造店」
小柳農園への訪問を終え、次に向かったのは明治3年創業の「丸世酒造店」。
AKOMEYA TOKYOではこちらで造られている「純米大吟醸酒 濃醇辛口 勢正宗」「純米吟醸酒 濃醇旨口 勢正宗 」の2種を取り扱っています。 

丸世酒造店の日本酒づくりについては、こちらのAKOMEYA通信でも紹介しています。

今回案内してくれたのは、5代目当主・関 晋司さん(写真下)。丸世酒造店の酒造りに対する取り組みや新たな挑戦について、詳しくお話を伺いました。

受け継がれる伝統製法と、土地の恵みが生きる酒造り

丸世酒造店の日本酒造りの特長は、創業より受け継がれる「もち米四段仕込」と呼ばれる日本古来の製法。

うるち米と比較して、すっきりとしていて独特のコクがあるもち米を加えることで、芳醇でありながら後味がスッキリとした日本酒が生まれます。

使用している酒米は、すべて長野県で生まれた品種。「ひとごこち」「山恵錦」など、地元で育てられた米が使われています。

仕込み水には、志賀高原の雪解け水を汲み上げた井戸水を使用。さらに、信州大学の技術から生まれた「信大クリスタル」による濾過を行うことで、不要な成分だけを取り除き、酒造りに適した水質に整えられています。

こうして、お米も水も、この土地の恵みを活かした酒造りが行われています。
丸世酒造店は歴史ある酒蔵であると同時に、時代に合わせた設備の改修にも積極的です。

2022年に実施された改修工事では、築60年以上の木造麹室を、衛生面や温度管理に優れたステンレス製に改修。土蔵の中には冷蔵プレハブを導入することで、外気温に左右されにくい環境で酒造りができるようになりました。

また、搾りには醪(もろみ)への負担を最小に抑えて、最高の状態で搾れる機械を導入。低温管理や加熱殺菌など、酒の品質を守るための最新技術も取り入れています。

一方で、古くからの製法を支える昔から変わらない道具も大切に使い続け、伝統の技を守り続けています。
 

地域の果実を生かした新しい味わい
関さんが新たに挑戦しているのは、果樹栽培が盛んな中野市のくだものを使用して仕込むどぶろく。現在はりんご・シャインマスカット・はちみつの3種のラインナップです。

甘さは控えめで食事にも合わせやすく、素材本来の風味がしっかりと感じられるように仕上げています。
中でもりんごのどぶろくは、皮を入れていないのに発酵の過程で自然に赤みが出るという特徴があるそうです。
 
参加スタッフの感想(AKOMEYA食堂 神楽坂 T.O)
古くからの基盤を守りながらも、最新の技術や知見を取り入れ、 常に向上心を持って取り組む5代目関さんの姿に 食に関わる者として、同世代としても、大変刺激を受けました。 中野市のお米を使った酒造り、地元の果実を使った日本酒へのチャレンジ、 地域に密着しながらも世界を意識した取り組み。今年のお酒もとても楽しみです。

伝統の技を大切にしながら、地域の果物を活かした新たな挑戦にも取り組む丸世酒造店。
その真摯な酒造りの姿勢は、日本酒「勢正宗」にも確かに息づいています。

AKOMEYA TOKYOの店頭でも取り扱っていますので、ぜひ手にとって味わってみてください。
純米大吟醸酒 濃醇辛口 勢正宗 2,200円(税込)
 長野県中野市の小柳農園で、丸世酒造店の酒造りからうまれた酒粕を肥料の一部に使って栽培された酒米「ひとごこち」を使用した、純米大吟醸の日本酒。 仕込み水には、地元の信州大学と共同で開発した「信大クリスタル」を使用した浄水システムを活用しています。濃醇かつクリアな味わいが楽しめます。
純米吟醸酒 濃醇旨口 勢正宗 900円(税込)
小柳農園で酒粕、醤油粕を肥料にした酒米「山恵錦」(精米歩合59%)を使用しています。華やかな青りんご系の風味とバナナ系のフルーティーな香りが特長で、米の旨味が押し寄せ、後味はスッと切れる味わいです。食前~食中酒向け。普段日本酒を飲まない方も楽しめる味わいです。

歴史ある醤油メーカー「マルヰ醤油」

長野県中野市での作り手訪問もいよいよ終盤。
最後にお邪魔したのは、小柳農園で栽培された麹米を使い、「アコメヤのたれ」シリーズを作ってくださっている「マルヰ醤油」です。
長野県中野市に拠点を構える「マルヰ醤油」は、明治期から続く歴史ある醤油メーカー。

地元産の大豆や小麦を原料に、杉の木桶でじっくりと天然醸造する伝統製法にこだわり、まろやかで深みのある味わいの醤油を生み出しています。時代の変化に合わせて製造設備や技術の改良にも積極的に取り組み、伝統の味を守りながら安定した品質の醤油づくりを追求しています。

さらに、地域の農産物を活かした製品づくりを通じて地域の小学生に食育を行うなど、地元の活性化や持続可能な社会づくりにも貢献しています。
 
今回の訪問では3代目社長の民野博之さん(写真下)に蔵をご案内いただきました。
 
訪問のはじめに、民野さんから大豆や小麦、麹米などの原料を見せていただきました。

普段から身近にあり日常的に使っている醤油ですが、素材の持つ役割や効果について知ることができ、消臭や殺菌など、醤油の持つ多様な働きにも触れて、改めてその奥深さを感じました。

お話を伺ったところで、いよいよ蔵の中の見学へと進みます。
 

木桶がずらりと並ぶ、歴史が息づく蔵
案内していただいた蔵の中には、仕込んだばかりのものから、すでに醤油として熟成を重ねたものまで、さまざまな状態の醪が入った木桶がずらりと並んでいました。ほんのりと醤油の良い香りがします。
ここでは醤油の醪をかき混ぜる「櫂入れ(かいいれ)」の作業を見せていただきました。長い櫂棒を使い、桶の中をゆっくりと突いて攪拌していきます。

この作業には、空気を送り込んで微生物の発酵を促進させると同時に、白カビの発生を抑えるという大切な役割があります。1つの桶にかかる時間はおよそ30分。見た目以上に重く、決して楽な作業ではありません。

それでも、「ここで手を抜くと、良い醤油にはならないんです」と民野さん。職人それぞれに担当の桶があり、日々の状態を見守りながら作業を続けているそうです。
 
木桶はすべて明治時代に造られた七尺(約2メートル)の杉桶。醤油はここで約1年もの時間をかけて、ゆっくりと熟成されていきます。

空気を送り込めば送り込むほど、雑菌の混入を防ぎ、より良い醤油に仕上がる。まるで生き物のように“可愛がる”ことで応えてくれる。そんな感覚を大切にしながら、醸すという伝統が今も息づいていました。
 

手作りの醤油の味わいを知ってもらうための挑戦
マルヰ醤油では「手作りの醤油の味わいを、もっと多くの人に知ってもらいたい」という想いのもと、近年海外への販路拡大にも取り組んでいます。

その背景には、醤油を販売するために訪米した際の印象的な出来事がありました。

「現地で醤油を販売していたとき、あるお客さまが『いつも使っている醤油と味が全然違う』と驚かれていました。ご自身のなかで醤油”といえばこれ、というイメージがあったようで、最初は戸惑われていたんですが、『どちらのほうが美味しい?』と聞くと、『こっち(マルヰ醤油)のほうが好きだ』と」。

民野さんは「これは手づくりで丁寧に仕込んでいるからこその味なんです」と、その違いを伝えたそうです。するとその方は、翌日お友達を連れて再びお店を訪れ、たくさん購入してくださったのだとか。

こうした体験を通じて、民野さんは海外だけでなく日本国内でも、手作りの醤油の味を知らない人が多いのではないかと感じるようになったと言います。

まろやかで奥行きのある味わいは、大量生産ではなかなか表現しきれないもの。
マルヰ醤油は、そんな手仕事の味わいをこれからも大切に、そして広く届けていこうとしています。

現在は民野さんのご子息お二人もここで働いており、代々受け継がれてきた"おいしい輪"はこれからも繋がっていきます。
参加者スタッフの感想(アトレ吉祥寺 M.Y)
まず『職人さんは休み明けには、真っ先に自分の木桶を確認しに行くくらい愛着を持って作っている』 というお話は特に印象的で、実際に木桶の中身を混ぜる作業を見せていただき、 とても労力のいる作業だと感じました。
その後、工場内を見学させていただきながら製造工程を知ることで、 先に体験していた小柳農園さんの肥料として、 マルヰ醤油さんで出た醤油粕が使われているという繋がりをより感じることが出来ました。
また醤油作りに使われる大豆を地域の小学生達と、食育という活動を踏まえながら 栽培~収穫まで行っているということが、とても素敵な取り組みだと感じました。

マルヰ醤油で造られる「アコメヤのたれ」シリーズはどれも様々な料理に使える万能だれ。
つけたり、かけたり、お好みの使い方を見つけてみてください。
アコメヤの醤油だれ 690円(税込)
木桶仕込みの信州産生醤油を使用し、すりつぶしたえのきやしめじに、昆布と椎茸の出汁を加え、旨みたっぷりに仕上げました。長野県産 風さやかのお米で仕込んだ米糀を加えることで、まろやかな風味を愉しめます。 
アコメヤの味噌だれ 690円(税込)
信州合わせ味噌に、味噌と相性の良いかつお出汁を合わせ、コク深く食材の旨味がより引き立つよう仕上げました。長野県産 風さやかのお米で仕込んだ米糀を加えることで、まろやかで塩かどの取れたやさしい味わいです。
アコメヤの塩だれ 690円(税込)
赤穂産の粗粒天日海塩に、長野県産「風さやか」のお米で仕込んだ米糀、昆布だしを加えた、まろやかな旨みが味わえる塩だれです。塩焼きそば、焼肉、野菜炒め、炒飯など、様々な料理にお使いいただけます。

食のカタリストがつなげる"おいしい"の輪

今回の作り手訪問ツアーを通じて見えてきたのは、長野県中野市の中で息づく"おいしい"の循環でした。

マルヰ醤油や丸世酒造店で生まれる醤油粕や酒粕は、小柳農園の田んぼに戻され、有機肥料としてお米を育てる土壌を豊かにしています。そして、そのお米は再び麹米や酒米として活用され、調味料や日本酒へと姿を変えます。

この土地ならではの知恵とつながりの中で、"おいしい"の循環が力強く築かれていることを実感しました。

そして今度は、食のカタリストである私たちがそのバトンを受け取り、都市圏のお客様へ作り手の想いとストーリーを届けていきます。

地域と都市をつなぎ、作り手と使い手をつなぐ「食のカタリスト」として、AKOMEYA TOKYOはこれからも"おいしい"の輪を生み出していきます。