山に降り積もった雪はまた、春からゆっくりと解けはじめ、田んぼを満たす水となります。酒造りと米作りの水源が同じであることは、小嶋総本店が大切にしている原則の一つです。
小嶋総本店は「米沢酒米研究会」を立ち上げ、契約農家との米作りに取り組んでいます。米沢の土地の味を映し出せるような酒造りをするため、米作りから考え直す中で、田んぼに農薬を使用し続けると土地の生態系に影響を及ぼしてしまうことから、契約農家とともに農薬不使用の酒米栽培にも取り組んでいます。
農薬を使用せずに米を育てていると、雑草が生えて田んぼの栄養を摂り込み、稲の生育を阻害してしまいます。田んぼを耕し早苗を植えて水を張ってからの3週間は、米作りにとってとても大事な時期。ここに合鴨のヒナを放ち、雑草や害虫を食べてもらいその糞を肥料とする「合鴨農法」がありますが、その合鴨は稲穂が育つと稲そのものを食べてしまうため水田から引き上げられ、その後自然に放すことは禁止されているため、食肉処理などをされるなど、多くの課題もあります。
そこで登場したのが、「アイガモロボ」。ソーラーパネルとGPS機能を搭載し、太陽光発電で指定ルートを動きながら田んぼの水をスクリューで撹拌することにより、水が濁り日光を遮断し、田の土から雑草が生えないようにしつつ稲だけに日光が当たります。また土を撹拌することにより、田んぼから出る温室効果ガスであるメタンガスの発生も抑えます。この「アイガモロボ」によるスマート農業で、農薬不使用の酒米を契約農家と育て、酒造りに活かす取り組みをしています。
使用電力を100%再生可能エネルギーに移行し廃棄物もゼロへ