日本六古窯のひとつ「越前焼」最年少の職人、豊彩窯の吉田雄貴さんがつくる杉形碗|AKOMEYA TOKYO

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日本六古窯のひとつ「越前焼」最年少の職人、豊彩窯の吉田雄貴さんがつくる杉形碗

アコメヤにこの秋勢ぞろいする、日本各地の飯碗シリーズ。その中でも今回から新しく登場するのは、越前焼の飯碗です。
この飯碗を作っているのは、「豊彩窯(ほうさいがま)」の吉田雄貴さん。伝統的な越前焼を、現代のライフスタイルに合わせて形状や釉薬にこだわりデザインする、越前焼最年少の職人です。
今回のAKOMEYA通信では、この飯碗について「豊彩窯」の吉田さんにお話を伺いました。


日本六古窯のひとつ「越前焼」
越前焼は、福井県の越前町で作られるやきもので、約850年前の平安時代末期に、常滑窯(とこなめがま)猿投窯(さなげがま)など東海地方の技術を導入して始まりました。
越前焼に使われる土には鉄分が多く含まれ、表面が赤黒・赤褐色の焼き上がりとなり、土が焼き締められます。
このため、越前焼は水漏れがしにくく、水や酒・藍染などの染色液の保管に使われたほか、穀物の保存・貯蔵といった用途でも使用されてきました。
(越前焼に使われる鉄分を多く含む土)
越前海岸に近い立地から、越前焼は北前船によって北は北海道から南は島根県まで広まり、越前は北陸最大の窯業産地として発展しました。
現在越前焼は、中世から現在まで続く日本を代表する陶磁器の産地「日本六古窯」のひとつに数えられています(越前のほかは、瀬戸、常滑、信楽、丹波、備前)。
1986年には、越前焼が国の伝統工芸品に指定されました。また、2017年には日本遺産にも認定されています。
1971年にオープンした「越前陶芸村」には、越前焼の博物館や販売店舗、ギャラリーなどが併設され、越前焼の歴史と現在の越前焼の実際の作品に触れることができます。
素朴で温かみのある味わいが魅力で、今日でも多くの人に愛用されています。
(越前陶芸村)

伝統の越前焼を現代の生活にマッチさせる「豊彩窯」

(写真左)吉田豊一さん、(写真右)吉田雄貴さん
今回発売するアコメヤの飯碗を作っている「豊彩窯」は、1993年に窯を構え、吉田豊一さんと吉田雄貴さんの親子で作陶している越前焼の窯元です。
「時代の求める越前焼を」を豊彩窯のテーマに掲げ、平安時代から受け継がれる越前焼の伝統や技術を継承しながら、刻々と変わる時代のニーズに応えた越前焼を目指し、日々作陶を行っています。
今回のアコメヤの飯碗を作っているのは、息子の吉田雄貴さん。現在32歳で、越前焼最年少の職人です。


「杉形碗」にモダンなデザインを施したアコメヤの飯碗
今回のアコメヤの飯碗は、「杉形碗」(すぎなりわん)という形状のお碗です。「杉形碗」とは、杉の木を逆さまにしたような逆三角形のお碗。
背丈が高く、胴から口縁までほぼ真っ直ぐに広がる形で、直線的ですっきりとした印象。背が高く見込みが深いので、容量も多めにでき、老若男女問わずお使いいただけます。
その杉形を作る手びねりのろくろ成型と、「削り」を使った加飾に、機械の大量生産ではない手づくりならではの職人のこだわりが詰まっています。
ろくろ成形
嵌縞(かんこう)
十草(とくさ)
手びねりのろくろ成形で、非常に薄く均一にするところに職人の技が発揮されます。成形の後は乾燥させ、「削り」で模様を付け白化粧をして加飾し、素焼きをしてから今度は内側に釉薬を塗り、最後の焼成をしていきます。
全て成形してから焼成して完成するまで、約3か月かかります。

加飾は、「嵌縞(かんこう)」と「十草(とくさ)」の二種類。
「嵌縞」の方は、釉薬をかけない素地の黒い肌がシックな印象で、この黒は「冷却還元焼成」という焼き方で発色します。「還元焼成」とは、窯の中の酸素を少なくして不完全燃焼の状態を作り出すことで、土の素地の鉄分から酸素を奪う方法。その黒い素地に、白化粧で線の模様を施しています。
「十草」の方は少し褐色で白が混じった表情ある肌の色で、この色も「冷却還元焼成」で発色します。
この「冷却還元焼成」での発色の調整がしやすいよう、ガス窯を使用して焼成しています。

内側のみに釉薬を使用しており肌が白いので、どんなご飯も映えてより美味しく見せます。外側は削りの模様が美しい上に滑り止めにもなっていて持ちやすく、薄く軽いのに丈夫なのも特長。和洋問わず使えるモダンなデザインです。
(使用しているガス窯)

越前焼をもっと拡げたいという吉田さんの思い

「豊彩窯」は、吉田豊一さんが1993年に構えた窯。その同じ年に、吉田雄貴さんは生まれました。雄貴さんは、父であり陶工である豊一さんの姿を見ながら高校生の頃から陶工を志すようになり、美術系大学の陶芸コースに進学、卒業後の2016年から作陶を開始しました。今年で陶芸家10年目です。
その活動の中で、「越前焼は、日本六古窯の中でも圧倒的に知名度が低い」と感じているそう。
「これが越前焼だ」と一目見てわかるような越前焼を作りたい、という吉田さん。越前焼ならではの土の色を活かしつつ、削りや釉薬などの加飾にも独自の工夫を重ねています。
現代の日本において食卓に並ぶさまざまな料理に合うような、和にも洋にも偏らない、また老若男女を選ばない、フラットなデザインのものを作っていきたい、という思いで作陶を続けています。

また、越前焼の担い手として最年少ならではの課題も感じているそう。
「福井県では毎年、伝統的工芸品産業の後継者を養成するために、越前の伝統的工芸品である越前焼・越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥の研修生を募集しており、越前焼の研修希望者には福井県工業技術センター窯業指導分所で研修を実施していますが、その研修を修了しても、そこから窯で就労する、あるいは新規の窯を立ち上げるところになかなかつながっていかないのが現状の課題です。」
少ない窯元で職人を受け入れる体制や、新規の窯を立ち上げるための資金など課題があり、なかなか吉田さんより若い専業職人が育っていない現状があります。
越前焼という伝統的工芸品を存続し拡げていくためには、新しい作品を生み出すことに加え、その担い手の育成も必須。
吉田さんは、その新規就労のフローづくりのため、県や町にも働きかけているところです。
アコメヤに新しく登場するこの飯碗には、越前焼の未来への思いが込められています。
伝統的な越前焼を、モダンなデザインのこの飯碗から食卓にとり入れて、越前焼の未来に思いを馳せながら美味しいご飯を愉しんでみてくださいね。