越前焼をもっと拡げたいという吉田さんの思い
「豊彩窯」は、吉田豊一さんが1993年に構えた窯。その同じ年に、吉田雄貴さんは生まれました。雄貴さんは、父であり陶工である豊一さんの姿を見ながら高校生の頃から陶工を志すようになり、美術系大学の陶芸コースに進学、卒業後の2016年から作陶を開始しました。今年で陶芸家10年目です。
その活動の中で、「越前焼は、日本六古窯の中でも圧倒的に知名度が低い」と感じているそう。
「これが越前焼だ」と一目見てわかるような越前焼を作りたい、という吉田さん。越前焼ならではの土の色を活かしつつ、削りや釉薬などの加飾にも独自の工夫を重ねています。
現代の日本において食卓に並ぶさまざまな料理に合うような、和にも洋にも偏らない、また老若男女を選ばない、フラットなデザインのものを作っていきたい、という思いで作陶を続けています。
また、越前焼の担い手として最年少ならではの課題も感じているそう。
「福井県では毎年、伝統的工芸品産業の後継者を養成するために、越前の伝統的工芸品である越前焼・越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥の研修生を募集しており、越前焼の研修希望者には福井県工業技術センター窯業指導分所で研修を実施していますが、その研修を修了しても、そこから窯で就労する、あるいは新規の窯を立ち上げるところになかなかつながっていかないのが現状の課題です。」
少ない窯元で職人を受け入れる体制や、新規の窯を立ち上げるための資金など課題があり、なかなか吉田さんより若い専業職人が育っていない現状があります。
越前焼という伝統的工芸品を存続し拡げていくためには、新しい作品を生み出すことに加え、その担い手の育成も必須。
吉田さんは、その新規就労のフローづくりのため、県や町にも働きかけているところです。