約1,300年の歴史を誇る、岐阜県の美濃焼。
日常使いの器を中心に高いシェアを維持してきた美濃焼は、この先の未来に向け、美濃焼の文化、ブランド価値の向上、新しい技術開発など、様々な取り組みが行われています。
AKOMEYA TOKYOはこの先10年も使い続けられる道具として、陶土の風合いを保ちながら吸水性を抑え、食器洗浄機や電子レンジで使用可能、且つリサイクル可能な新素材の土「MINO MAKELAY」を使った酒器を製作。
この器を通じて、美濃焼の文化が新しい時代に即してゆく取り組みを共に行います。
美濃焼の歴史と特長
約1,300年の歴史を誇る陶磁器生産日本一の美濃
岐阜県の多治見市、土岐市、瑞浪市からなる東濃地域は、焼きものに欠かせない良質な陶土と、それを焼成する燃料の薪となるアカマツに恵まれた土地で、1300年前の飛鳥時代から焼きものの歴史があり、日本最大の陶磁器生産拠点です。
中でも土岐市は陶磁器生産日本一の町で、全国シェア50%以上を誇ります。
移り変わる時代の風を柔軟に取り込みながら、現在も作家による陶芸作品からカップや皿などの日常食器、建築資材のタイル、ニューセラミックスにいたるまで、多種多様なやきものがつくり続けられています。
美濃焼の中でも、16世紀に焼かれた桃山陶と呼ばれる黄瀬戸、織部、志野、瀬戸黒に代表される焼きものは、日本の茶道文化と深く交わり、深化を遂げた、日本独自の美を内包した焼きものです。
1つの様式にとどまらない多様性が特長で、志野・赤絵・飴釉・織部・染付・美濃・伊賀・黄瀬戸・粉引・美濃唐津・青磁・天目・灰釉・瀬戸黒・御深井・鉄釉の15種類が、伝統工芸品として指定されています。
セラミックバレー美濃構想
美濃のやきものとその文化をリブランディングし産業・地域を活性化する取り組み
古くから愛されている美濃焼ですが、現在は課題も抱えています。
30年前に比べ引き出物や内祝いの多様化により、和陶磁器の需要が大幅に減少し、出荷額はピーク時の1割程度まで落ち込んでいます。
美濃焼の原料、釉薬、土、メーカー、商社すべてが分業制のため、低迷や取り巻く環境変化への気づきや対応の遅れも。
陶土を採掘する鉱山の閉山(または休業)が相次ぎ、陶土が自給できず特徴が出しにくい状況にあります。
海外輸出用の安価な商品の生産が大きなメーカー数社に集中し、中小メーカーは縮小傾向。
売上不足や工場環境等で経営者・職人の高齢化と後継者不足が問題になっています。(窯業は50歳以上が50%を占める)
そこで、美濃のやきものとその文化をリブランディングし産業・地域を活性化する取り組みとして始まったのが
「セラミックバレー美濃構想」。
2013年に、クリエイティブ・ディレクターの佐藤卓氏と連携し、美濃焼ブランディングプロジェクトが始動。
2021年には「セラミックバレー協議会」が発足しました。
「世界は美濃に憧れる。」をキャッチコピーに、国内だけでなく、海外に対しても美濃焼の魅力を広く発信していくことを目標に掲げています。
美濃から世界に向けて発信する「From MINO」、世界から美濃への誘致を行う「To MINO」の2つの側面からプロモーションを展開。
「To MINO 」の取り組みとして、器×音楽×食×ARTの複合型クラフトフェア「セラミックバレークラフトキャンプ」を実施。
美濃焼業界の未来を切り開こうとする取り組みに、期待が高まっています。
美濃焼デザイン研究所
各分野のスペシャリストが集う研究開発の場
美濃焼の原料、釉薬、土、メーカー、商社など各分野のスペシャリストが、情報共有・価値創造・課題解決の場の欠落を見直し、新しい研究開発の場を作り仕組み化することにより、新しいモノとコトを生み出すプラットフォームとして、「美濃焼デザイン研究所」が2021年に発足。
AKOMEYA TOKYOも、商品開発と販売の場の力を活かし、美濃焼のリブランディング、サステナブルな取り組み、作家作品の販売などを行い美濃焼の魅力を伝えていく役割として、小売業の立場からこの「美濃焼デザイン研究所」に参画しています。
MINO MAKELAY
陶土の風合いで食器洗浄機が使えるリサイクル可能な新素材
MINO MAKELAY(ミノメイクレイ)は、「美濃焼デザイン研究所」のプロジェクトとして、陶土の風合いを保ちながら吸水性を抑え、食器洗浄機、電子レンジが使えるリサイクル可能にデザインされた新素材。
陶器は通常吸水率が高く、電子レンジや食器洗浄機は非推奨ですが、磁器は吸水しないため使用可能。
ミノメイクレイは、美濃の豊かな土をうまくブレンドしデザインすることで磁器化させ、陶器の風合いで電子レンジ、食器洗浄機の使用を可能にしたものです。
美濃で精製される粘土の特徴は、多種類の土の調合。多くの他の産地では単一原料のため、採掘してから余分な部分を削り取り原料とします。
美濃では多種類の粘土、原料が採れるため、一度分けたものを再度ブレンドして粘土を作ります。このブレンドの技術を活かし、美濃で開発された新素材です。
(写真)MINO MAKELAYに使われている土。現在では採掘できない土も保存されています。
アコメヤのMINO MAKELAYの酒器
繊細な香りを楽しみたい日本酒は、器に匂いが残っているとそのお酒の味まで変えてしまうことがあります。MINO MAKELAYの酒杯なら匂い残りがなく、繰り返し清潔に使い続けることが可能です。「不動窯」にて品のある佇まいの酒器に仕立てました。
酒盃、焼酎カップ、麦酒タンブラーの3型で、白土・赤土・黒土の各3色展開です。
酒盃、焼酎カップ、麦酒タンブラーの3型で、白土・赤土・黒土の各3色展開です。
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