【Vol.85】【紡ぐ、結ぶ】澤井織物に聞くストールのこと Part1|AKOMEYA TOKYO

カテゴリから探す

【Vol.85】【紡ぐ、結ぶ】澤井織物に聞くストールのこと Part1

上質な素材から一本の糸が紡がれる。自然の力、匠の技、技術の奇跡が糸に織り込まれ、やがて伝統となり新しい時代に繋がっていく。糸は紡がれ、人と人を結んでいく。
AKOMEYA TOKYOでは、ものそのものだけでなく、ものに込められた思いや、作られる背景を大切にしてきました。
ストールをつくる有限会社澤井織物工場は、伝統工芸「多摩織」を担う工場の一つ。
そんな澤井織物工場の四代目 代表取締役社長 澤井伸さんと、里村果南さんに伝統技術の継承、そしてものづくりへのこだわりについてうかがいました。

東京都八王子市街から北に山を越えると綺麗な田園風景が広がります。ここ、八王子市高月町は多摩川と秋川が合流するあたりに位置し、豊かな水資源を活かして今でも稲作が行われています。
美しい景色を眺めながら足を進めると、ガタン、ガタンと織機(しょっき)の音が聞こえてきます。この豊かな自然が作り出す、のどかな雰囲気の中に澤井織物工場があります。
「私はここ高月町で生まれ、赤ん坊の頃から織機の音を聞いて育ちました。子ども時代から手伝いをしていたので織物は日常でした。」と話すのは、伝統工芸「多摩織」を担う、伝統工芸士の澤井織物工場四代目 澤井伸さん。
かつて桑の都として知られた東京・八王子で織物をつくり120年。多摩織は昭和55年に経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。御召(おめし)、風通(ふうつう)、紬(つむぎ)、綟り(もじり)、変り綴(かわりつづれ)と5種の織り方を含み絹糸を使う多摩織は、絹織物の多品種産地が育んできた多様な技法の集大成です。中でも澤井織物工場は5種全ての織物を担い、多摩織を続けながら風合いに重きをおいた作品のような製品作りを続けています。
「こだわりは風合い。触って気持ちいい。着け心地がいい。これに限る。」と澤井さん。
天然繊維を使用した布は、季節によってその素材が異なります。冬はウール、夏は麻や綿。その中間だと綿麻、シルクウール、カシミヤウールなど気候や環境に合わせた布ができ上がります。
高速のオートマチックではなく手織りに一番近いとされるシャトル織機でゆっくりと織るので、糸が引っ張られず柔らかく優しい風合い。生産量は決して多くありませんが、確かな品質を維持するため沢山を求めず持続可能な発展を実現しています。

次回、伝統を次の世代へどう継承していくか、澤井織物工場のものづくりへのこだわりをお届けします。
【紡ぐ、結ぶ】澤井織物さんに聞くストールのこと Part2