西伊豆田子「カネサ鰹節商店」さんのかつお加工の現場をレポート|AKOMEYA TOKYO

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西伊豆田子「カネサ鰹節商店」さんのかつお加工の現場をレポート

2023年のアコメヤの新米祭りのテーマは、「海と米」。
AKOMEYA通信「おにぎりで結ばれる「米と海」のご縁」の記事では、西伊豆田子地区の「しおかつお」と「シギの恩返し米」にフィーチャーしました。
その西伊豆田子地区の、しおかつおが今も作られている現場に行ってきました。
静岡県の三島駅から車で約1時間半、西伊豆田子地区の大田子海岸のほど近くにある、「カネサ鰹節商店」さんです。
現在日本で唯一、稲藁で飾り付けした縁起物の「しおかつお」を作っているのが、カネサ鰹節商店の芹沢安久さんです。明治15年創業の老舗で、芹沢さんは5代目にあたります。
カネサ鰹節商店5代目 芹沢安久さん
稲藁で飾り付けした縁起物の「しおかつお」
日本で唯一、稲藁で飾り付けした縁起物の「しおかつお」作りが西伊豆町だけに残った理由は、古来より縁起のよいものとして航海の安全と豊漁豊作を祈願して、お正月には稲藁でお飾りをした「しおかつお」をつるし、神棚にお供えする神事が残っているためです。別名「正月魚(しょうがつうお)」とも呼ばれます。
芹沢さんは毎年、この「しおかつお」を担いで富士山に登り、富士山頂奥宮に「しおかつお」をご奉納されています。
芹沢さん自ら富士山頂にお供えをされるほどの情熱で作られているこの「しおかつお」。その工程の一部を、今回実際に見せていただきました。


しおかつおの製造工程
しおかつおの製造工程は、10工程にも及びます。
①かつおの解凍 ②切断作業 ③内臓の取り出し ④かつおの水洗い ⑤かつお塩まぶし ⑥塩まぶしの寝し ⑦塩出し作業 ⑧潮かつお運搬 ⑨塩かつお乾燥作業 ⑩乾燥作業終了

この工程には、約1か月を要します。今回はこの工程のうち、②の切断作業から⑤の塩まぶしのところまでを見せていただきました。
写真左:切断作業 / 写真右:内臓の取り出し
切断作業は、塩がまんべんなく入るよう、骨に沿って大きく深く、奥まで切り込みを入れていきます。血合いの部分が傷みやすいので、しっかり取り除きます。
内臓の取り出しは、鰓から手を入れて内臓を引っ張り出し、最後に腹から全て取り出します。心臓は残しておきます。芹沢さん曰く、心臓を残すのは「魂を残す」という風習だそう。神事の供物であるしおかつおならではです。
写真左:水洗い / 写真右:塩まぶし
塩まぶしは、先ほど切り込みを入れたところにまんべんなく塩を入れていきます。目の水晶体を潰してそこにも塩を染み込ませます。目の水晶体を潰さないとそこが腐ってしまうそう。しっかり処理をしたしおかつおの目は白いので、それが品質の証になります。

手火山式焙乾製法
カネサ鰹節商店の本枯れ鰹節「田子節」は、昔ながらの製法である「手火山式焙乾製法」で作られています。
今回アコメヤで新発売する「だし塩」に使われる「しおかつお」には、この田子節と同じ「手火山式焙乾製法」が施されています。

地面を2メートルほど掘ったところに立てた焙乾炉の上に、鰹を並べて乗せた木枠の網を重ね、130度から150度で焙乾させていきます。
炉の薪には、西伊豆の山から伐採される間伐材のナラ・クヌギ・サクラを薪として使っています。
煙の少ない薪の火力が強いので、煙の少ない薪から、煙の多く出る薪に徐々に変えて火加減を調整していきます。
最初に表面を焼いて旨みを閉じ込めながら水分を中に残すと、熟成されて仕上がりの旨みが違ってくるのです。
こうして作られる、「しおかつお」や「田子節」。こちらの「しおかつお」を使ったアコメヤオリジナルの「だし塩」で味をお試しいただき、しおかつおまるごと1匹や田子節1本を直接使ってみたい、とご興味を持たれた方は、ぜひカネサ鰹節商店さんにお問い合わせしてみてくださいね。


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