みそ探訪家・岩木みさきさんに聞く①「木桶味噌の魅力」|AKOMEYA TOKYO

カテゴリから探す

みそ探訪家・岩木みさきさんに聞く①「木桶味噌の魅力」

2022年10月に新発売された「アコメヤの木桶味噌」は、香川県の小豆島で行われる、ヤマロク醤油さん主催の「木桶職人復活プロジェクト」にアコメヤのメンバーも参加し、木桶を造るところから始まりました。
そこで、全国の味噌蔵を自らの足でまわられている、みそ探訪家の岩木みさきさんと出会いました。
今回の記事では、みその専門家である岩木さんに、木桶味噌の特長、魅力を語っていただきます。

 実践料理研究家・みそ探訪家/岩木みさき 
独立して5年経った頃、専門性を持った料理家になろうと考える中で「木桶みそ」に出合いました。
みそのことを知りたい!と、夜行バスに乗って始めたみそ探訪は、2016年から現在まで70ヶ所以上になり、2020年にはみその基本知識やレシピを掲載した「みその教科書」(エクスナレッジ)を出版。
毎日みその食べ比べを行ない、固定概念にとらわれない食材との組み合わせを楽しみながら、みそ汁やみそ料理を考案しています。
木桶を使用したみそや醤油は希少


木桶仕込みのみそも醤油も、各業界の生産量の1%以下だと言われています。
時代の流れで扱いやすいFRPというプラスチック容器やステンレスタンクが主流になり、修理ができないまま壊れてしまったり新桶を造ることがなくなり、木桶仕込みは希少になっていきました。
木桶仲間が集う場所


香川県小豆島のヤマロク醤油代表山本康夫さんが率いる「木桶職人復活プロジェクト=桶プロ」は、木桶文化の継承と木桶のメンテナンスや組み上げができる人材を増やすことを目標に2012年に開始。
醤油蔵である山本さんが大阪の藤井製桶所の上芝さんを訪ね、小豆島の大工仲間の皆さんと一緒に自ら木桶作りを始められました。
毎年1月には全国から木桶醤油の蔵元の皆さんを中心に木桶文化を応援する仲間達が集い、木桶作りの他、木桶に関する情報共有やトークイベントなどを盛り込んだ木桶サミットも開催され、益々盛り上がりを見せています。
アコメヤのみそを仕込む新桶


2022年1月、木桶職人復活プロジェクト×河野酢味噌製造工場×AKOMEYA TOKYOが携わり、みそ用の新桶作りが行なわれました。
「木桶文化を未来に残したい」という想いが重なり、一緒に木桶を作り、みそを仕込んで、出来上がった商品を販売するプロジェクトです。
私は桶プロに6回参加しているのですが、木桶みそ蔵の皆さんの参加はまだまだ少ないのでこうした取り組みが実現したことが心から嬉しかったですし、木桶調味料を応援してくれる企業がいるということは、蔵元の皆さんにとってものすごく励みになると感じています。
木桶には人と人を繋いでくれる力があって、それも魅力の1つだと思っています。
今回のみそ用木桶のサイズは、直径1.2メートル×高さ1.2メートル。
桶プロで作る木桶は直径×高さ各約2メートルですが、みそを掘り出すため使い勝手が良いサイズを考えられ、プロジェクト内で作る木桶よりも小さめのサイズになっています。
頭領の坂口直人さんは、今回目指すサイズの木桶をつくるための「木桶を削るカンナ」や「削る角度を測る定規のカマ」といった道具を作るところから始められました。
作業しながら道具の微調整を行なうため、進行にとても時間がかかります。
木材は吉野杉を使用し、水分に強く耐久性があるという理由から木の部分でも高級とされる心材=木の内側の赤身部分だけを厳選。
木と木は竹で作った竹釘を打って繋いでいくという、職人さんの沢山の技術から生み出されるのです。
河野さんも自ら木桶を組み、箍(たが)を編む作業にも取り組んでいました。
新桶仕込みのアコメヤのみそ


新桶は初め酒蔵の酒造りに使われ、そこから醤油蔵やみそ蔵へ渡ってきた歴史があります。
そのため、最初から新桶にみそを仕込むというのはとても珍しく、近年でも数個の事例しかありません。
木桶には微生物たちが木桶の穴に住み続け、その結果、蔵ごとの風味や味わいを生み出すのです。
「木桶じゃないとつくれない味がある。木桶仕込みだから美味しい。」
これから先100年以上使い続けることができる木桶の1年目、1回限りの新桶みその体験をぜひ皆様と一緒に楽しめたら嬉しいです。

「木桶の1年目、1回限りの新桶みその体験をぜひ皆様と一緒に楽しめたら嬉しいです」と仰ってくださった岩木さん。
次の「AKOMEYA通信」の記事では、岩木さんに「アコメヤの木桶味噌」を使ったレシピを考案いただき、アコメヤの木桶味噌の特徴もお伺いしています。ぜひそちらもご覧ください。