アコメヤの木桶味噌2ndビンテージについて河野酢味噌製造工場の河野さんに取材しました!|AKOMEYA TOKYO

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アコメヤの木桶味噌2ndビンテージについて河野酢味噌製造工場の河野さんに取材しました!

2022年、「木桶職人復活プロジェクト」でアコメヤ専用の木桶作りから始まり、今年2年目となる「アコメヤの木桶味噌」。
その木桶味噌を製造する、岡山県の河野酢味噌製造工場の河野さんに、1年目と2年目の味噌の違いなどについて詳しく聞きました。


気候の違い

河野酢味噌製造工場のある岡山県真庭市。
蒜山高原から流れる旭川の清麗な軟水と、北房からの備中川の中硬水の源流が流れる。
今年は昨年より暑い傾向で、春や梅雨入りも早く、梅雨の期間が長く湿度が高い日が続きました。
2年目は、仕込みの開始時期が昨年より2ヶ月早く、昨年は3月に仕込んだところ、今年は1月に仕込みました。1月2月は寒かったです。


仕込み時期・期間の違い

2年目の「天地返し・追麹」後の味噌の様子
1年目と2年目は、仕込みの時期と期間が違います。

・1年目:仕込み3月25日~天地返し・追麹6月2日~充填8月1日
・2年目:仕込み1月13日~天地返し・追麹6月2日~充填7月上旬

1月、2月は寒いため、発酵期間にほぼカウントされません。
1月~2月に仕込む味噌を「寒仕込み味噌」、3月に仕込む味噌を「梅味噌」、4月~5月に仕込む味噌を「藤味噌」といいます。
1年目は「梅味噌」、2年目は「寒仕込み味噌」にあたります。
2年目は1年目に比べて、仕込み期間が長く、追麹後の期間が短くなっています。2年目は1年目より全体の熟成期間が長く、ゆっくり熟成されています。


桶の状態の違い
写真左:1年目の木桶 / 写真右:2年目の木桶
昨年8月から今年1月まで半年弱、木桶を使わない期間があったため、胴回りに数か所隙間が生じていますが、味噌の塩分により外部に水分が漏れても垂れ流れる程度。問題はないです。
1年目の仕込みの際は、桶に微生物がゼロの状態だったので、蔵にもともといる蔵付き菌に頼らざるを得なかったのですが、2年目は木桶が一度使われて馴染んでおり、桶にも微生物がいる状態からのスタートでした。
1年目は新桶のため、仕込み前の吸水時間を3週間とりましたが、2年目は微生物が吸水で少なくならないよう配慮し、1週間に短縮しました。


出来上がりの違い


2年目は、1年目に比べフレッシュさよりもより味噌らしく、コクがしっかりと出ています。
香りは、パイナップルを思わせるような発酵香があり、当蔵の酵母独特の香りがしっかりと出ています。
深みのある味わいに、糀の甘さが合わさって、1年目よりも腰のある味となりました。
熟成期間は2年目のほうが2か月長いですが、2か月間は発酵、熟成が止まる寒の時期であったため、熟成期間は発酵の変化に影響はないですが、追麹後の気温が急激に高くなった事、梅雨が長く湿度が多かったことで熟成が進み、蔵付き菌の生育も活発になったのではないかと考えられます。
味噌らしく深みのある味が出てきたことと当蔵独特の香りが出始めていることは、確実に木桶に蔵付きが住み始めている証拠。
仕込んでから追麹までも順調に進み、昨年はバナナのような香りでしたがその香りも出ず、追麹前の口切りの際もアメ(みそ溜り)の香りは通常のアメと同じ醤油の香りでした。
また、桶を洗った後の香りも1年目は木桶の香りだけだったのが、2年目は木桶の香りもありつつ、味噌の香りも残り始めていて、徐々に木桶が当蔵に染まり始めているように感じています。
河野酢味噌製造工場の蔵の木桶たちには蔵付き菌がたくさん
この変化から、当蔵の壁を張り替えた時を思い出すことが出来ました。蔵付き菌を守るため、蔵の4面の内1面のみを張り替え、2年後に残りの3面を張り替えました。2年目で壁の色が若干変わり、残り3面を張り替えたのです。
2年という年月は、蔵付き菌がある程度移り住み増殖する目安なのかもしれません。
2年目の木桶でゆっくり熟成した香りと旨み豊かな木桶味噌を、ぜひお召し上がりください!

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